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  4. 昨今の飲酒にまつわる話題について①

エッセイ

SMAPの草なぎ君の飲酒問題行動について前回触れたので、最近の飲酒にまつわる諸々の話題について、2回にわたって私見を述べてみることにする。

まず、草なぎ君の件であるが、深夜に公園で全裸だったので公然わいせつ罪で逮捕されたそうであるが、わいせつとは「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」と定義されている。マスコミ報道などからして、彼は酩酊、泥酔して公園で奇声、大声をあげており、そのため近隣住民が警察に通報したとのこと。どうも彼の全裸を誰も見ていないようである。なら、警察官職務執行法の泥酔保護、あるいは「 酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律(酒酔い防止法)」による酩酊保護が妥当である。
また、テレビの報道番組だったと思うが、彼の記者会見で彼が酒を止める、といわなかったことについて、アルコール飲料メーカーのCMに出ているための配慮から発言しなかった、といった類のコメントをした識者がいた。大きなお世話である。成人に達すれば、飲酒するか、しないかは、憲法12条の権利の自由で、その選択は保障されている。酒を止めるなんて宣言する必要もないし、さらに逮捕の要件も満たしていないようだから、何時までも仕事を自粛することもない。また、今後のことについて、SMAPの他の仲間と相談するとも会見でいっていた。それならこの際、アルコールだけでなくギャンブル・薬物などの依存から抜けだすために、その飲まない(使わない・やらない)自由を選択している当事者、回復者グループへのメッセージソングでも作詞、作曲し、依存症対策のキャンペーンでもやってくれたほうが下手な反省の弁を述べるより彼らしいと思うのだが・・・如何だろうか。

因みに、ギターの神様といわれているエリック・クラプトンは、自らをアルコール依存症とカミング・アウトし、カリブ海諸島のとある島に私財を投じて依存症者の回復施設を作り、運営にあたっている。

次に中川前財務大臣の泥酔記者会見だが、あれはいただけない。それこそ、文化、生活習慣への理解のなさを露呈している。その文化、習慣とは、スペイン語のシエスタ(Siesta)、午睡(昼寝)。つまり、スペイン語圏を中心に生活習慣として社会的に認められている昼寝を含む長時間の昼休憩(13:00~16:00が目安)を指す言葉である(これは、睡眠学的には人の覚醒・睡眠のリズムを考える上では利にかなっているらしい)。だから、午睡前の昼食時にワインを飲むという文化、習慣のなかで生活している南部ヨーロッパ地域の人達は、もし、シエスタ(Siesta)がとれない環境の下に身をおいた場合、それなりの対処法を身に付けているはずで、彼のような醜態は演じないだろう。加えて、もう一ついわせていただければ中川前財務大臣のほうが、草なぎ君より、飲酒行動についてはかなり深刻な問題を抱えているといわざるを得ない。

「酒びんの中に、不満のある者は慰めを、臆病者は勇気を、そしてはずかしがり屋は自信を求めてゆく」:サミエル・ジョンソン