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よく分からない

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02月

エッセイ

厚生労働省は職場でのいじめ・嫌がらせ相談の増加を受け、2011年、有識者らが参加する円卓会議を設置、2012年1月30日に報告書をまとめたとメディアが報じた。つまり、政府がハラスメント(とくにパワーハラスメント)の定義を打ち出したわけだ。
その類型として「①暴行など身体的な攻撃②脅迫など精神的な攻撃③無視や仲間外れ④多すぎる仕事をさせるなど過大な要求⑤仕事をさせないなど過小な要求⑥プライベートに立ち入ること」の六つを挙げている。なるほど、厚生労働省のワーキンググループがまとめたものである。

当院の医療安全に関する問題が記載された匿名のメールが、長崎県福祉保健部に送信され、それが何の協議、検討されることなく、当院管轄の長崎市保健所に下された。そして、ここでも何の吟味されることなく、「医療法25条の1」に基づいての立ち入り調査が2011年5月11日に突然行われた。それも医療法に精通していない長崎市職員によって、強硬に実施され、結果、何ら問題も指摘されなかった。これは法権力を行使しての②にあたらないのかな?
また、その後、この立ち入り調査に関する長崎県、長崎市保健行政当局の対応について、長崎県知事、あるいは長崎市長にその釈明を頻回に行ってきた。それは同時に西脇病院のHPのブログに掲載している。
しかし、一度だけ中村法道長崎知事名で、まったく見識ある人物の回答といえない内容の文書を受け取った(これも過去のブログに掲載)。その内容で、逆に過去においての長崎県の保健行政当局が当院に、違法を正当と回答したこと(30年程前)を思い出した。それも私は、県当局に対して長い年月、釈明を求め続けてきたのである、そしてやっと、数年前に謝罪文をいただいたばかりだ。そうそう、さらに昨年、長崎県の保健行政当局より、長崎県精神病院協会を通して要請があった「パブリックコメント」と、今一つの要請に対しても、私の実名で意見書を提出している。しかし、それもそれが受理されたか、不受理だったのかの通知すら受けていない。つまり、これは明らかに③の無視である。

そんな中、長崎市保健所の医療法に基づく定例の立入監査が、2012年1月25日に行われた。当院を監督・指導する立場の行政当局の定例監査である。しかし、私には違和感があった。そこで2011年5月の立入監査以後にとられた行政当局の対応に沿って監査に臨むことにした。詳細は2012年1月31日のブログ「行政改革」をお読みいただきたい。そして、2012年2月12日現在、監査後2週間が経過した。まだ、監査結果の内容に関する結果の報告を行政当局より受け取っていない。また、無視されているようだ。

そして今度は、長崎県保健行政当局より「精神保健福祉法」に基づく監査を、2月20日に実施する旨、通知があった。厚生労働省は「(パワー)ハラスメント」への対応策として、幾つか挙げているが、ご自分のお膝元がハラスメントを行使する対象の場合はどうしたものだろうか。お教えいただきたい。

といったことで、2012年1月23日、数年ぶりに厚生労働省の出先機関である九州厚生局の監査があった。
現在、当院は新改築中である。新築になってから監査いただき、不備などをご指導、ご指摘いただき、速やかに是正を、と思っていたが、何故こんな時期か分からない。それはともかく、一通りの監査が終了、総評後に何か質問はと言われたので、これまでの匿名のメールのみで県、市の保健当局が何の協議、事前の調査もなく立入監査した問題を相談したところ、「県、市の厚生、保健機関ではそのような権限があるんでしょう。私たちはそんなことはしません」と、つれない返事だった。え~何時から地方分権が始まったんですか???
こうなったら、自己防衛しかない。私はハラスメントなどで、うつ病とか心的病に罹った方々に「あなたを傷つける人とは距離を取りなさい」と常々言っている。幸い、私は当日、診療所勤務である、夜も一般市民の方から講演を依頼されている。「GKB-47宣言」とは一線を画したストーリーで、人が「生きる」ことについて語るつもりにしている。ただ、当日病院で勤務する職員の安否が気がかりだ。今少し時間がある。監査に来られる県職の方々と十分に距離をとり、ハラスメントの被害を避けるように周知徹底しておかねばならない。
しかし、よく分からない。厚生労働省が類型するハラスメントを自治体の厚生、保健行政を司る部署が、それもトップダウンで行われたことは間違いなさそうだが...、何故なさるのか、やはりよく分からない。

ここで、当院に何らかの不祥事が発生したとしよう。今ならインフルエンザの集団感染である。数名の死亡者もでた。さ~そこで、県、市の保健行政当局は一気に強力な監査、指導を執行するに違いない。これまで、行政のパワーハラスメントに無関心を装っていたメディアも一斉に当院へ取材に殺到。私がその対応の心労から倒れ、病となり死亡。あるいは責任をとって自殺をしたとしよう。
そこで、行政当局は「筋を通す立派な精神科医だった。惜しいことである。誠に残念です」と談話を発表し一件落着。いや、無視し続けているのは、そのような事態を待ち望んでいるのかもしれない(笑)。