天に唾をする

03

(月)

11月

エッセイ

佐世保同級生殺人事件発性より40日以上も前にあった、佐世保児童相談所(以下・児相)への児童思春期に造詣のある精神科医からの通報に対する児相の在り方が問題となっている。もちろん、私の2014年8月4日の西脇病院ホームページでのブログ、並びに同年9月15日号「プレジデント」記事、そして、最近のマスコミ報道を通して、今回の事件における児相の対応のまずさが致命的なミスであったことは、見識ある方には充分理解されている。

とくに児相幹部職員の「(精神科)病院からの丸投げは受けるな...」といった発言は、戦後、精神障碍者の処遇の多くを行政当局よりほぼ「丸投げ」で受け入れ続けている民間精神科医療機関に対する、公人の発言としては、失礼極まりないことである。そのような人物が「注意処分」ですまされる甘さに驚きを禁じ得ない。

ただ、それを受けて、10月30日の長崎県議会総務委員会で、ハラスメント(嫌がらせ)に関する調査を、県職員全員を対象に早急に実施することを明らかにしたそうである(西日本新聞:2014年10月30日)。
ところで、この県職員全員とならば、当然、県知事も含まれるのであろう。

まず、2012年5月22日の西脇病院ホームページに掲載した私のブログ「長崎県知事と長崎市長の品格」の一部を再掲したい。

長崎県の厚生労働省の出先機関である労働局へ「私に対する長崎県知事、長崎市長、各保険行政当局のパワーハラスメント(無視)」に関する書面、資料(A4:55枚)を2012年5月9日に送り、長崎県、長崎市への対応を依頼した。
そして、2012年5月10日長崎労働局総務部企画室長名で以下のような回答をいただいた。その抜粋を紹介する。

《【冒頭から結論として、私の問いかけは当労働局の「所管外」で対応できないと伝えている。それは2012年3月15日になされた「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」では『長崎県知事等と貴院及び貴殿との関係は、同職場内の上司と部下には該当しない...』。また「医療労働者である私」に対して、『医療法人の代表者である貴殿は、労働基準法上、...「労働者」に該当しません』、と...】
そうなんだ。1985年に私は、長崎県保健部当局にもこの「所管外」ではと、問いかけを行った。
それは長崎署の職員が集団で当院に乗り込み、入院中の患者を他の精神科病院に入院させようとした事件である。法の定めでは、医師が患者を診療した上で、入院の可否が決定されるはずだ。それを警察職員の判断で行われようとしたのだ。私は、この件を当時の長崎県保健部当局に問い合わせたところ、保健部長名で警察の行為は正当との回答を受けた。以後、それは法的におかしいと、問い続けてきた。そして、22年経過した2007年になって、やっとその否(警察職員の行為は「医師法」に反する。つまり警察の所管外である。)を認めた謝罪文を長崎県保健行政当局の障害福祉課長名で受け取った。

今回もそうだ。一通の「匿名のメール」のみで、長崎県、長崎市保健行政当局が、何ら協議もせず、何ら決裁も行わず、「医療法25条の1項」を行使することが、保健行政当局の所管内で行える正規の業務であるかを問題にしているのだ。

同様に「匿名のメール」一通のみで、長崎の保健行政当局が、「医療法25条の1項」を行使したこと、それは本来保健行政当局で協議、ないしは他にも調査などを行い、その「匿名のメール」に信憑性がなければ、それこそ「所管外」として処理すべきではないか。何故そのような当たり前の業務を行わなかったかと幾度となく説明を求めたが、行政当局は「無視」し続けている。
これが2012年3月15日になされた「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」に該当しない、よって労働局の「所管外」であると回答してきた。
(中略)
私は個人的にこの「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」は、まだ議論の余地ありと思っているが、労働局としてはこの報告書を行政の立場で吟味した上での回答であることは理解できる。

だが、マザーテレサは「無視は最大の暴力」と言っている。
(中略)
長崎は被爆地である。このような悲劇も、他者への「無視」、他者の生活の場、生き方に土足で踏み込む行為で生じる諍い(いさかい)が原点にある。長崎では、先に述べたように公人のそういった行為が目に余る。
(中略)
私も労働局から「使用者」との指摘を受けた。
(以下略)》


以上が2012年5月12日のブログの主要な抜粋箇所である。

その後、当院の事務方より、私の勤務時間が労基法に反する長時間にわたる勤務であると、是正を求める指導を再三受けているとの報告があった。
となると、長崎労働局は、私を「使用者」とも、「医療労働者」ともみなしていることになる。これでは「二枚舌」だ。

ここで、厚生労働省が定める「パワーハラスメント」の定義の(3)、(4)を紹介したい。
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)。
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)。

「県民主役」と言ってはばからない長崎県知事の、その主役である県民が幾度となく例の「匿名のメール」についての説明を求めているにも関わらず、それを無視し続けている姿勢は、上の(3)に該当しないか。
そしてもうひとつは、長崎県労務局が、当局の都合で、私を「使用者」と「医療労働者」とに使い分けていることである。これではもう一人、私の存在が必要になる。つまり、これは過大な要求を公が民に強いていることになる。これも(4)に該当しないか。
もし該当するなら、これらもパワーハラスメントではないか。