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  4. 長崎県知事殿 僭越ながら宜しくお願い致します。主役の県民より!

エッセイ

2014年3月12日の地元新聞(長崎新聞)も、やはり前日(3・11)が東北大震災から3年目だったことで、被災地への鎮魂と復興関連の記事で埋められていた。そんな中で、私には震災関係以外で気になる二つの記事があった。一つは不肖私の投稿記事、もう一つは前日の県議会を傍聴した記者のものである。一見関係なさそうで、大いに関係がある内容だと私は受け止めた。まずは、その全文を紹介してみたい。最初に私の投稿記事、そして記者の取材記事だ。
【みんなのひろば】
『ギャンブル依存症現実をみよ...精神科医・西脇健三郎(67):私たちの生活にはハレとケ、日常と非日常が存在する。そのめりはりは私たち精神保健に重要だと言っていい。カジノは、そんなハレと非日常の場であり、そこに足を運ぶとはハレ、非日常の時を過ごすことになる。ただ、このめりはりのバランスが大切だ。中村法道知事がカジノ誘致推進の会見で「マイナス面を克服できるかが課題だったが、最小化できるのではないか...」と語っていが、果たしてそうだろうか。マイナス面の最たるものは、このめりはりのバランスが崩れることだ。つまり、ギャンブル依存に陥り、その結果さまざまな社会問題へと波及することだ。県当局はこのようなこのギャンブルを含めた依存症問題にどれほど認識を持ち、どれほどの対策を講じてきただろうか。精神科医を生業として多少なりとも依存症治療に携わってきた者として言わせていただくと、数少ない民間の精神医療に携わる者が軸となり、それに当事者団体(自助グループ)が関与し、啓発から治療、回復に寄与しているのが現状だ。最近、私が手にした行政機関よりの公的書面からしても、対策どころか依存症に関する認識、理解すら欠落していると言わざるを得ない。(長崎市)』

【傍聴席】
『知事に飲みの勧め:知事は堅調に夜遅くまで残る必要はない。職員を誘って飲みに行った方がいい」。11日の県議会一般質問で、橋村松太郎議員(自民・愛嬌の会)は中村法道知事に政治家としての在り方を説いた。歴代知事の功績や人間味あふれる人柄を引き合いに出し、物足りなさを吐露。2期目こそは県内を行脚し、数十年後の将来を見据えた政策を打ち出してほしいと激励した。また、仕事熱心と持ち上げた上で、「今更職員以上に勉強する必要はない。あまり羽織はかまを着るべきじゃない。あなたの良さが出ていない」と皮肉った。暗に県庁マンからの脱却を求められた知事は「非常に貴重なご指導」と普段通り丁寧に答弁した。(左海力也)』

つまり、知事はカジノというハレ、非日常の場を誘致されようとしておられるようだが、ご自分はケ、日常の業務に忙殺されている、と橋村県議より指摘を受けておられるようだ。そうなると、そんな知事が、ハレ、非日常のもたらすマイナス面をどれだけ認識しておられるか疑問が残る、と言わざるをえない。
また、先の国会で、アルコール健康障害対策基本法成立し、都道府県にはその対策推進計画が求められことになった。本県はカジノ誘致を知事自身が発言されているのだから、そのマイナス面も踏まえる意味でも、さまざまな依存症対策推進計画を立てる必要がある、とするのが常識的だ。一つ、橋村県議が提言されたように、県内のすでに細やかながらも対策が実践されている場を行脚され、数十年後の将来を見据えた長崎方式の依存症対策を作成された上で、知事自らの言葉で述べていただきたいものだ。