有言実行

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(火)

06月

エッセイ

くどいのが取柄で申し訳ないが、2014年3月12日の地元新聞(長崎新聞)【みんなのひろば】の私の投稿を再掲したい。

『ギャンブル依存症現実をみよ...精神科医・西脇健三郎(67):私たちの生活にはハレとケ、日常と非日常が存在する。そのめりはりは私たち精神保健に重要だと言っていい。カジノは、そんなハレと非日常の場であり、そこに足を運ぶとはハレ、非日常の時を過ごすことになる。ただ、このめりはりのバランスが大切だ。中村法道知事がカジノ誘致推進の会見で「マイナス面を克服できるかが課題だったが、最小化できるのではないか...」と語っていが、果たしてそうだろうか。マイナス面の最たるものは、このめりはりのバランスが崩れることだ。つまり、ギャンブル依存に陥り、その結果さまざまな社会問題へと波及することだ。県当局はこのようなこのギャンブルを含めた依存症問題にどれほど認識を持ち、どれほどの対策を講じてきただろうか。精神科医を生業として多少なりとも依存症治療に携わってきた者として言わせていただくと、数少ない民間の精神医療に携わる者が軸となり、それに当事者団体(自助グループ)が関与し、啓発から治療、回復に寄与しているのが現状だ。最近、私が手にした行政機関よりの公的書面からしても、対策どころか依存症に関する認識、理解すら欠落していると言わざるを得ない。(長崎市)』

これを読まれてのご発言か分からないが、2014年4月1日に中村法道長崎県知事は、カジノ誘致のためにギャンブル依存症対策を行うと幹部職員を前にして明言、と翌日の新聞に報じられた。結構なことである。また、これは時期を得たご発言だと評価したい。というのも、2014年3月に「アルコール健康障害対策基本法」が国会で成立している。早晩、長崎県においてもその法の理念に基づいた対策・推進計画を立てねばならない。加えて、青少年を中心としたネット依存が問題となっている。さらに、警察当局はストーカ行為を依存の病(関係依存)ととらえ、その治療の在り方を模索している。

差し出がましいようであるが、この様にある意味、依存症対策環境の必要性が迫られているなかで、長崎県当局においては、一つ知事の発言を受けて、全て(物質・過程・関係)の依存症を網羅した対策、それもキャンペーン、水際の予防策といった第一次予防に留まらない第二次、第三次予防にも踏み込んだロードマップを作成されたら如何なものだろうか。。
それを実践できる体制が整備された暁には、それは長崎方式として、全国の先駆けとして高い評価を得るに違い。是非とも有言実行といきたいものである。