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筋を通した生き方

17

(金)

08月

エッセイ

私は学生時代、ハリウッドの俳優スチーブ・マッキーンが好きだった。代表的な作品には「荒野の7人」、「大脱走」がある。彼は50歳歳の若さで癌に冒され他界した。
そのことにふれた著書「億万長者はハリウッドを殺す」(講談社)は1986年に刊行されている。内容は、ネバダの核実験場の近くでハリウッド映画、とくに西部劇の撮影が行なわれることで、多くのハリウッド俳優が癌に侵され亡くなっていることを紹介。その核開発、原発建設にアメリカの巨大資本家が関わっている、といったものであった。

その著者である広瀬隆氏が、2010年10月に「二酸化炭素温暖化説の崩壊」(集英社)を発刊している。それは、IPPCの報告書の捏造を暴露したクライメートゲート事件にふれ、現在の気候変動は、地球の地軸のわずかな傾き、太陽を回る軌道周期の変化、太陽の活発化による太陽風の強まりなどを要因としている、と指摘している。その上で、ここでも、エコ利権を取り上げ、その利権に群がる資本家を問題にし、人類存続のためには、他に様々な重要課題があること、それなのに我々は「エコ=CO2削減」で、それらから目をそらさせられているのでは、と書いている。

その著書が出版されて約半年後、あの大津波が三陸沿岸を襲い、福島原発が破壊された。

以下は私がその直後に書いたエッセイである。

『私がまだ生を授かる前のことである。日本は米英と戦をしていた。そう、太平洋戦争だ。
当時の日本人は、日本は神国であると信じ込まされ、巷では「鬼畜米英」と合唱連呼がなされていたそうである。しかし、日本国は、米英の圧倒的な物量と軍事力に徹底的に叩きのめされ、最終的には2発の原子爆弾で、その戦いに終止符を打った。その日(1945年8月15日)以来、「鬼畜米英」は死語になってしまった。

2011年3月11日、東日本太平洋沿岸を地震と大津波が襲った。これは地球がホンのわずか身震いしただけである。それにも拘わらず、三陸地域沿岸に甚大で壊滅的な被害を与え、4基の原子炉の機能がままならず、私たち国民に不安と、近隣地域の方々には、それに加えて計り知れない不自由を与え続けている。これは地球という惑星の基本的な営みの一つに過ぎないのだろうが、私たち人間にとっては途轍もない脅威であり、これまた徹底的に打ちのめされてしまった。そんな3・11以後、ある言葉が世間から消えたような気がする。あれだけ盛んに使われていたのに...。それは「エコ」だ。この「エコ」の標語として、使われてきたのが、「愛は地球を救う」、「環境にやさしく」「地球が危ない」などなどだった。そんな標語は、地球環境上の一生命体(生態の一つ)に過ぎない人間とって、とてもコントロールできない地球環境に対して、些か上から目線ではないか、と。以前から私の気がかりでであった。

この震災の後、復旧、復興もさることながら、東日本、とくに首都圏の電力(エネルギー)不足、東日本の精密部品工場の崩壊が世界経済にも影響を与えかねない、と懸念されている。確かに「エコ」どころではない。代替エネルギー、自家発電の規制緩和、「エコ」が理由で停止していた火力発電の再開などと色々と議論され、対策がとられているようだ。(中略) 
「エコ」といった用語がこれから復活することやら、それとも死語になってしまうのか、どんなものだろう。

あの戦の後、「鬼畜米英」が死語になった日本は、「鬼畜米英」の一国であった米国と同盟関係を結び、目覚ましい経済成長を遂げた。そして40年後、バブル景気とその崩壊、それからの日本は陰りをみせ、元気がなくなってきた。そんな衰退を思わせる時期に今度の震災である。いわゆる戦後の復旧、復興、そして日本経済の成長と躍進、それとともにバブル期に40歳代の社会の中核にいたのが、私たち「団塊の世代」である。

今回の東日本大震災で「エコ」が死語になるかはともかくとして、復旧、復興は急務である。そして、その後の日本経済が立ち直るためには、エネルギー対策が不可欠だ。そして、40年後だが、ちょうど2050年問題を迎える。つまり、地球上の人類が100億人になるといわれている。その時、40歳代を迎えるのは、これからも続くだろうが「少子化世代」だ。エネルギー問題だけではない。世界的な食糧問題、水問題への対応も迫られるはずである。
(中略)「少子化世代」は、「エコ」を死語にしないまでも、些か地球を見下した「エコ」用語に洗脳されないでほしい。その上で、しっかりとこの国の立て直しを行い、さらに、その後の世界的人口爆発(人類の異常繁殖)に立ち向かってもらいたいものである。(以下略)』

残念なことに、その後原発停止、節電といったことから、また「エコ」が復活している。加えて「脱原発」のデモだ。ここで不思議なことに気付いた。テレビニュースで流れる脱原発デモを行う方々の顔が、何故か「エコ」を唱えてきた人たちと同じ顔に見えて仕方がないのだ。現に国連総会でCO2、25%削減を演説された元総理。25%削減の根拠はクリーンエネルギー原発を20数基増設ではなかったですか。その彼が脱原発デモに参加していた。信じられないことだ。

それからすると、広瀬隆氏については彼の著書を2冊読んだだけで、多くを知らないが、数10年筋を通してこられている。素晴らしい、敬意を表したい。

*:クライトメートゲート事件:今日話題の地球温暖化を二酸化炭素排出が原因として、世界中でCO2の排出規制を呼びかけているIPCC(気候変動に関する政府間パネル) が、その論拠となった基礎データを捏造していたことが2009年に露見した。これは欧米ではとても大問題となっているが、日本ではほとんど報じられていない。